「もう心と体が持たない。でも、休職なんて言い出せない」。朝起きられない、涙が止まらない、出勤前に吐き気がする。そんな状態でこのページを開いた方に、まず伝えたいことがあります。休職は、条件を満たせば誰でも使える正当な選択肢です。
この記事では、休職制度の基本、診断書のもらい方、会社への伝え方の例文、休職中のお金まで、休職にたどり着くまでの手順を順番に解説します。
休職とは?まず制度の基本を知っておく
休職とは、病気やケガなどの理由で働けない従業員が、会社に籍を残したまま一定期間仕事を離れる制度です。実は法律で義務付けられた制度ではなく、各会社が就業規則で定めています。そのため、休職できる期間や給与の扱いは会社によって異なります。
動き出す前に、就業規則で次の3点を確認しておきましょう。確認が難しければ、後の手順の中で人事に聞いても問題ありません。
- 休職できる期間の上限(勤続年数で変わる会社が多い)
- 休職中の給与の有無(無給の会社が大半。その場合は傷病手当金でカバー)
- 申請に必要な書類(診断書・休職届など)
休職までの4ステップ
ステップ1:心療内科・精神科を受診する
メンタルの不調で休みたい場合、最初の行き先は会社ではなく医療機関です。予約の電話では「仕事のストレスで体調不良が続いていて、休職も含めて相談したい」と伝えるとスムーズに案内してもらえます。
診察では、症状を我慢せずそのまま話してください。「眠れない」「食欲がない」「会社に近づくと動悸がする」といった具体的な事実が、医師の判断材料になります。うまく話せる自信がなければ、症状をメモにして持参する方法がおすすめです。
ステップ2:診断書を受け取る
医師が「療養が必要」と判断すると、休職期間の目安が書かれた診断書が発行されます。費用は自費で数千円程度、その場で受け取れる場合もあれば数日かかる場合もあります。診断書は休職申請の中心になる書類なので、受け取ったらコピーを手元に残しておきましょう。
ステップ3:会社に伝える
伝える相手は直属の上司が基本です。ただ、上司との関係が不調の原因になっている場合は、人事や社内の相談窓口へ直接連絡してかまいません。対面がつらければ、電話やメールでも失礼にはあたりません。診断書という客観的な根拠があるので、長い説明は不要です。
ステップ4:書類を提出し、連絡ルールを決める
会社の案内に従って、休職届と診断書を提出します。あわせて、休職中の連絡方法(頻度・手段・窓口になる人)と、社会保険料などの支払い方法を確認しておくと、休んでいる間に仕事の連絡へ振り回されずに済みます。
会社への伝え方の例文
口頭・電話で伝える場合の例文です。
「体調不良で医療機関を受診したところ、療養が必要との診断を受けました。診断書が出ておりますので、休職の手続きについてご相談させてください」
ポイントは、自分の意見ではなく「医師の判断」として伝える点です。「頑張れば出社できるのでは」といった反応をされても、判断の主体はあくまで医師なので、「医師から療養の指示が出ています」と繰り返せば十分です。謝りすぎる必要もありません。
休職中のお金はどうなる?
休職中を無給とする会社が大半ですが、健康保険の「傷病手当金」を申請すれば、給料のおよそ3分の2を通算1年6ヶ月まで受け取れます。うつ病や適応障害などのメンタル不調も対象です。条件と申請方法は傷病手当金の条件と申請方法の記事で詳しく解説しています。
一方、住民税や社会保険料の支払いは休職中も続きます。会社への支払い方法を、休職前に人事へ確認しておきましょう。
会社が取り合ってくれないときは
診断書を出しても「人手が足りない」と渋られるケースや、そもそも休職制度がない会社もあります。その場合は、各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)に相談すると、会社への対応方法を助言してもらえます。産業医がいる会社なら、産業医面談を申し込むのも有効です。
休職が難しく、環境そのものを変えたほうがよいと感じたら、退職も選択肢に入ります。退職の切り出し方の記事と、言い出せない場合の退職代行の記事を参考にしてください。どちらを選んでも、あなたの健康より大事な仕事はありません。
休職と退職、迷ったときの判断軸
「休職するくらいなら、いっそ辞めたほうがいいのでは」と迷う人は多いです。どちらが合うかは、次の軸で考えると整理しやすくなります。
| 休職が向いているケース | 退職を考えてよいケース | |
|---|---|---|
| 不調の原因 | 一時的な業務量・特定のプロジェクト・自分の体調 | 会社の体質・ハラスメント・業界そのものが合わない |
| 会社への気持ち | 回復すれば戻りたい気持ちが残っている | 戻ることを想像すると症状が悪化する |
| お金 | 傷病手当金で当面の生活が回る | 失業保険や貯金で退職後の見通しが立つ |
| 決断の余力 | 今は大きな決断をする気力がない | 冷静に次の計画を立てられる状態にある |
迷ったら「休職してから考える」が原則です。休職は取り消せますが、退職は取り消せません。休職中に心が回復してから、戻るか辞めるかを決めても遅くないのです。辞める場合の段取りは退職手続きの記事にまとめています。
よくある質問
休職すると、クビや出世に響きませんか?
休職を理由とした解雇は不当解雇にあたる可能性が高く、就業規則に基づく休職は労働者の正当な権利です。査定への影響はゼロとは言えませんが、無理を続けて倒れたり、ミスや欠勤を重ねたりするほうが、長期的には評価も健康も失います。「休職に響くか」より「このまま続けたらどうなるか」で比べてください。
診断書は、どのくらいの症状なら書いてもらえますか?
「診断書をもらえるほどじゃない」と受診をためらう人が非常に多いのですが、眠れない・食欲がない・仕事のことを考えると動悸がする、といった状態が続いているなら十分に相談対象です。医師は状態を見て必要なら自然に休養を提案してくれます。診断書のハードルを自分で上げず、まず受診して現状を話すことから始めてください。
休職中に転職活動をしてもいいですか?
法律上の一律の禁止はありませんが、休職は「療養に専念するための期間」なので、回復前の本格的な転職活動は本末転倒になりがちです。まず回復を最優先し、体調が戻ってきた段階で「復職か転職か」を考えるのが安全です。情報収集程度なら負担になりにくいですが、就業規則の規定と、傷病手当金の趣旨(働ける状態ではないことが前提)には注意してください。
まとめ:休むと決めた日から、回復は始まっている
休職の手順は、受診→診断書→会社へ報告→書類提出、の4ステップです。いちばん勇気がいるのは最初の受診ですが、医師に話した時点で「ひとりで抱える状態」は終わります。
休職が始まったら、あとは回復に専念するだけです。休職中の過ごし方の記事で、罪悪感との付き合い方と回復のステップを紹介しています。どうか、休む自分を責めないでください。


コメント